「増殖するエネルギー」変形M120号(2610×970㎜) 油彩・アクリル・箔/キャンバス 2021年
第56回主体展(東京都美術館)秀作作家 入選
記憶や感情という目に見えない未知の情景を絵具の重なりから作り出そうと試みた作品である。
この作品は記憶を引き出した時や喜怒哀楽を感じた時に脳内を駆け巡る一瞬の情景を描いたものである。何万本もある神経の密林の中を漂っているイメージを持ちながら制作しており、たくさんの情報で満ちているその密林の中に記憶を感じさせるような表現を試みている。
どんどん変容していく意識をテーマに表現している。大気圏のような冷たい樹木と暖かい夕焼けの色の対比と共に、画面中央の不思議な生命体が空間のリズムを作っている様子を楽しみながら制作を行っている。
脳内で埋もれている記憶を探す様子を表現している。その手に持っているのは記憶が凝縮された塊である。脳の深いところにはどんな景色が広がっているのかイメージを膨らませながら制作している。
初めての試みとして、平面と立体を同時に鑑賞する作品を制作した。手前に置かれているのは漆で作った枝である。漆の歴史が絡み合いながら後世へと紡がれている様子を油絵の複雑な色で表現した作品である。
キャンバスの形自体も表現の一部として捉え、自由に変形して制作をしている。自由な形のキャンバスに自由な色彩で描かれた不思議な世界を楽しみながら制作を行っている。